COLUMN

塗り替え前に知っておくべき! あなたのお家にあった外壁塗料の選び方

2022.02.14

お家に合った外壁塗料 

そろそろ住まいの外壁塗り替えを検討しようと思っている方。
自分のお家に合った塗料って、どうやって選べばいいのか迷っていませんか?

よく耳にするシリコン塗料にしておけば、とりあえずよいかしら?
何がよいかもわからないし業者がオススメしてきたものに、とりあえず決めてしまおうか。とは言え、余計なメンテナンス費用は払いたくないし、あとで後悔はしたくないですよね。
もしもですよ?! 塗料選びで、生涯コストが違ってくるとしたなら・・・

例えば、外壁の耐用年数で考えた場合、30年目までに支払った塗装費用を概算してみましよう。ちなみに耐用年数とは、塗膜が劣化し次の塗り替えが必要になるまでの期間、寿命のことです。あくまでも生涯コストの参考としてご覧ください。

(例)
耐用年数10年の塗料の場合 80万円(塗装単価)×3回(塗装回数)=240万円
耐用年数15年の塗料の場合  100万円(塗装単価)×2回(塗装回数)=200万円

耐用年数が短い塗料は、次の施工が早く必要になってしまい塗装回数が増えてしまいます。その結果、長い目で見たときに損をしたと、気づくことにもなりかねません。

耐用年数が長い塗料は、ご存じの通り価格は高くなる傾向にあります。グレードによって塗料単価が高くなったとしても塗装の際は、同じ足場代と人件費がかかります。一時の支払い金額は高いように見えても、生涯コストを考えると結果的にお得になったということもあるわけです。近年、そんな高機能な塗料が普及してきているのは、このような点が大きいからなのでしょうね。

つまり、塗料選びが外壁塗装の価格や耐用年数、生涯コストを決めることになります。住まいの塗り替え前に、塗料のことを知っておくことがポイントとなってきます。

外壁塗装に使う塗料は、種類が豊富で、それぞれに特徴があるため、これを塗れば大丈夫!という塗料は残念ながらございません。どの塗料を選ぶかによって、塗り替えの期間や住まいの快適さも変わってきます。

今回は、今までの現場での経験を含めた私見を交えながら、塗料選びについてお伝えしていきたいと思います。

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そもそも塗料の成分って何なの?

まずは、外壁や屋根に塗る塗料の成分について簡単にご説明いたしますね。
塗料を構成する成分は、乾いて塗膜という膜を形成する【塗膜成分】と、塗料が乾き硬化した後に蒸発する【揮発成分】に分けられます。
それぞれの成分の特徴は以下のとおりです。

塗膜成分
・塗った面を保護して機能を守る「合成樹脂」
・色彩をつける「顔料」
・塗膜に特別な機能を追加する「添加剤」
3つの塗膜成分で構成されています。この塗膜成分が塗料の種類や性能、価格を左右します。

揮発成分
塗料を希釈する溶剤の種類によって2つに分けられます。
・シンナーなどの有機溶剤によって溶かすものを溶剤系塗料(油性塗料)
・水によって溶かすものを水性系塗料(水性塗料)

以前は、溶剤系塗料は耐候性が高いと言われていましたが、塗料の進化によって差も縮まっており、環境や人にやさしい水性系塗料の需要は拡大してきています。

もう少しだけ詳しくお話しますと、例えば同じシリコン塗料でも水性系もあれば溶剤系もあるということです。さらに、そのまま一つの液で使用する1液型もあれば、2つの液を混ぜ合わせる2液型もあり、ひとつの系統の塗料をとっても種類は細かく分かれています。
したがって、同じシリコン塗料であっても耐用年数や価格に違いが出てきてしまうのです。

次に、この成分の中で着目していくのは、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素と言われる耐久性を決める主成分となっている「合成樹脂」です。

 

塗料の耐久性ってどのくらいなのでしょう?

塗料の種類によって耐用年数が変わってきますので、わかりやすいように表にしてみました。

結露

何度も申しますが、あくまでも目安です。
なぜなら、立地環境や施工方法などによって耐用年数は変わってくるからです。
先ほどの成分のところでお話をしたように、同じ樹脂名のシリコンであってもたくさんの種類があります。この表ではシリコンは10年としていますが、種類によってはそこまで持たないものもあります。また、下地処理が適正に行われた状態であることが耐用年数に関係してきますので、下地処理方法も大切となってまいります。

それでは、さまざまな塗料の特徴、耐用年数、メリット・デメリットをご紹介していきます。どんな種類があり、どんな特徴があって、何を目的に塗装するか。塗料選びの際に、この情報も併せて参考にしていただけるように、まとめてみました。

最後に、お家の状況にあった最適な塗料選びをするポイントをお伝えしています。そちらもぜひチェックしてください。

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外壁塗装する際に知っておくとよい塗料の種類と特徴は?

外壁塗料

各メーカーから販売されている塗料には、樹脂の違いによるアクリル系・ウレタン系・シリコン系・フッ素系などがあり、そのほか樹脂以外の特殊顔料や添加剤を混ぜることによって、防水性、遮熱性、断熱性、低汚染性、無機などの特殊機能を持った塗料があります。

とにかく安いアクリル系塗料

とにかく安い塗料をお探しならアクリル系塗料です。耐久性は期待できないため、頻繁な塗り替えが必要となります。長期的なメンテナンス費用を抑えたい方にはオススメしていません。 紫外線に弱いため、屋根への塗装には不向きです。

○用途
紫外線の当たらない内装の塗装に向いています。また、定期的に塗り替えが必要な賃貸住宅や予算をかけずに一時的にきれいに見せたい時などに使われます。

○耐用年数 約3~5年

○メリット
価格が安い。発色が良く艶があり、重ね塗りなどの施工性にも優れています。

○デメリット
色あせが早く汚れやすい。チョーキング(外壁を触るとチョークのような粉状が手に付着する現象)やひび割れしやすい。

 

ひと昔前までは主流だったウレタン系塗料

ホームセンターでも売られている安価な塗料です。塗膜が柔らかく施工しやすいため、ひと昔前までは外壁塗装の主流として使われていました。

○用途
耐久性は劣りますが、定期的に塗り替えをするビルや店舗で利用されています。密着性に優れていることから、雨樋や破風板などの付帯部の一部に使用されたり、外壁や屋根に使われる塗料とは異なりますがベランダ防水工事に使用されたりします。

○耐用年数 約5~8年

○メリット
塗膜が柔らかく、密着性があり伸びがよい。耐候性、耐水性がよい。

○デメリット
アクリル系塗料より耐久性や機能性は優れているけれど、シリコン系より劣る。

 

スタンダードなシリコン系塗料

一番多く使われている塗料で、各メーカーの開発が進んでおりバリエーションが豊富にあります。ウレタン系塗料よりも優れた性能を持ち、価格と耐久性のバランスがよい塗料といえます。ただし注意点としては、同じシリコン系塗料でも耐久性・価格に違いがあります。正式名称はアクリルシリコンで、略してシリコン塗料と言われています。先ほど紹介したアクリル系塗料とは違うので、混同しないように注意してください。

○用途
戸建て住宅やマンションの塗り替えに向いています。さまざまな性能を持つ塗料のため、外壁の劣化症状に合わせて使い分けることが可能です。
【一般シリコン】水性と溶剤があり、外壁素材に関係なく一番多く使われています。

【単層弾性シリコン】塗料で厚みをつけることができ、ひび割れが起こりやすいモルタル壁に向いています。

【機能性シリコン】汚れがつきにくく、紫外線に強いなど機能性を兼ね備えています。価格は高め。日当たりが良すぎる環境や海沿いなどの汚れが付着しやすい環境の場合にオススメです。

○耐用年数約 8~15年

○メリット
価格と耐久性のバランスがよい。環境に適した使い分けができる。

○デメリット
性能により価格に違いがある。種類が多く、品質にばらつきが多い。

 

寿命が長く汚れにくいフッ素系塗料

蛍石という天然石を原料とした、フッ素樹脂を使った塗料です。身近なものとしてテフロン加工のフライパンがありますね。このフライパンの表面にフッ素樹脂が加工されています。シリコン系塗料に比べて、寿命が長いのが特徴です。また、耐候性、耐熱性、耐寒性にも優れており、美しさを長く保つ効果があります。しかし、価格は高いこともあって一般住宅にはまだ多く普及していない状況です。耐候性を活かして屋根や付帯部に塗装された方から好評をいただいています。

○用途
紫外線や酸性雨に強い。付着した汚れを弾くため、外壁の汚れや色あせに悩むならフッ素塗料をオススメしています。商業施設や橋など短いスパンで塗り替えのできない建造物で使われていることが多いです。

○耐用年数 約15~20年

○メリット
汚れを徹底して防ぐことができます。耐候性、耐熱性、耐寒性、防藻性、防カビ性にも優れていて、長年にわたり美観を保つことができます。

○デメリット
価格が高い。

参考ページ
ハウスレンジャーの経験をもとにおすすめ塗料をご紹介しています!

 

ラジカル制御型塗料

新しい塗料の開発で最近、注目されているラジカル制御技術を使っている塗料です。紫外線による塗膜劣化を引き起こす物質(ラジカル)を抑制することができるため、耐候性が高く外壁劣化を防止します。耐用年数は、シリコン系とフッ素系の間くらいに位置します。

○用途
戸建住宅の外壁やマンションの外壁に向いています。

○耐用年数 約10~12年

○メリット
耐候性が高く紫外線による塗膜劣化対策ができ、チョーキングが起きにくい。

○デメリット
新しいタイプの塗料なので、製品数や実績がまだ少ない。

 

ピュアアクリル樹脂(特殊アクリル系塗料)

アクリル系の中でも純度が高く、機能性に優れています。耐候性が高く、強力に外壁劣化を防止します。この塗料の特徴は、なんといっても伸びがよく、塗膜がひび割れに追従し建物内部への雨水の侵入を防ぐことができます。有名な塗料として、アステックペイントジャパンのEC-5000PCMがあります。

○用途
硬いモルタル外壁などのひび割れしやすい外壁補修。

○耐用年数 約10~15年

○メリット
ひび割れしやすい建物に追従する弾性力がある。防水性に優れている。

○デメリット
冬場の施工には工期がかかる。

 

省エネ効果を発揮するなら遮熱・断熱系塗料

太陽熱を遮断し外壁・屋根の表面温度を下げ、室内の温度上昇を抑制するため、省エネ効果があります。代表的な商品として、日進産業のGAINA(ガイナ)があります。

○用途
外壁や屋根塗装に向いています。熱気のこもりやすい建物に利用されることが多く、光熱費の節約を考えるなら最適な塗料になります。

○耐用年数 約10~15年

○メリット
遮熱性・断熱性に優れているため、室内を快適に保ってくれる。

○デメリット
製品によっては色の制限や艶消ししかないものもある。価格が高い。

参考ページ
屋根・外壁リフォームお役立ちコラムにガイナの優れた効果を詳しくご紹介!

 

外壁の汚れを防止したいなら光触媒系塗料

太陽光で汚れを分解し浮かせ、雨で汚れを洗い流すセルフクリーニング効果がある塗料です。さらに、空気中の汚染物質も分解するので建物周辺の空気まできれいになり、自然環境にもやさしいです。

○用途
外壁塗装向けです。外壁の汚れ防止、美観を保ちたい方にオススメです。

○耐用年数 約10~15年

○メリット
セルフクリーニング効果で長く美観が保てます。緑地と同じ空気清浄効果もあり、防臭にもつながります。

○デメリット
普及が進んでいないので価格が高い。立地によっては効果がでにくい場合がある。

一般的な塗料のほとんどが有機物を主成分とした合成樹脂を使用している有機塗料です。
では無機塗料とは、物質的に安定している無機物のセラミックやケイ素などを配合した塗料です。無機物の優れているところは、水や空気、石、ガラスなど自然界にある炭素を含まない物質のため、紫外線などの影響を受けにくく、劣化しにくい特徴を持っているところです。フッ素を超えるほどの耐久性があると注目されている塗料なのです。

無機塗料といっても完全な無機物ではありません。ハウスレンジャーでは、無機+有機のハイブリッド塗料を使用しています。無機の特徴である優れた耐候性と、有機の柔軟性、それぞれのいいトコをかけ合わせた塗料なのです。

○用途
外壁用、屋根用がある。紫外線の影響を受けやすいお家、またコケや藻が発生しやすいお家の外壁にもオススメです。

○耐用年数 約15年以上

○メリット
色あせやチョーキングが起こりにくく、塗膜が長持ちする。カビやコケなどが発生しにくく、外壁が汚れにくい。

○デメリット
価格が高め

 

現在のデザイン性を残すならクリヤー塗料

今の外観とイメージが変わってしまうのは嫌な方に、サイディングの風合いを変えずにクリヤー(クリア)仕上げにする方法があります。言わば透明コーティングすることで、外壁の模様をそのまま残すことができます。ただし、色あせや傷みが進行していない、目安としては築後10年以内の外壁となります。現状がきれいであれば施工できますが、光触媒などの表面コーティングが施されている場合は塗装できません。

○用途
外壁のクリヤー(クリア)仕上げにする。

○耐用年数
約8~15年(シリコン系やフッ素系、無機などの種類によって異なってきます)

○メリット
意匠性の高いサイディング外壁の美しさを残したまま塗り替えができる。

○デメリット
築年数が10年以上、またはサイディングが劣化している場合は向かない。

参考ページ クリヤー塗装の施工事例がご覧になれます!

 

マットな仕上がりにしたいならツヤ消し塗料

ピカピカとした光沢のある仕上がりではなく落ち着いた質感にしたい方は、ツヤを抑えてみるとよいかもしれません。塗装後に主張しすぎないシックな雰囲気をご要望される方におススメしています。

○用途
和風・洋風問わず、できる限り艶を抑えた仕上がりにする。

○耐用年数 約8~15年(種類によって異なります)

○メリット
7分艶・5分艶、3分艶、艶消しというように、艶の程度を選ぶことができます。

○デメリット
種類により、塗料の性能が落ちる可能性があります。

つや消し塗料をいくつか選んでみました
・インディフレッシュセラ(日本ペイント)
・ガイナ        (日進産業)
・ルミステージマット  (AGCコーテック)

選べる色や艶消しなど塗料ごとに限られています。好みがある方は、事前にご相談しておくとよいでしょう。

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お家の状況にあった最適な塗料選びをするポイントって?

塗料の選択

代表的な塗料をご紹介してきました。種類があまりにも多すぎて、この中から1つの塗料を選ぶのは難しいことですが、自分のお家に合った塗料をどのように判断していくかです。
まずは、外壁材の種類や劣化症状を見てから、塗料を選定していきます。なぜなら、外壁材や劣化症状に合っていない塗料を選択すると、一時的に見た目はきれいになったとしても性能を十分に発揮できず、すぐに劣化してしまうからです。もう少し具体的に言うならば、サイディング・ALC・モルタルなど外壁材の種類によって、相性のよい塗料と相性のよくない塗料があります。また、同じ建物内であっても太陽光の当たり方や湿気のこもる箇所が異なり、その環境によって劣化症状に違いがみられます。さらに、お客様の気になる点や要望によっても塗料は変わってきます

例えば、

・藻・コケ・カビなどの汚れが気になる
・色あせが気になる
・チョーキング現象が見られる
・ひび割れが多数ある
・塗装の剥がれ、膨れがある
・夏の暑さをなんとかしたい
・マットな質感にしたい、デザイン性を重視したい
・予算は○○万円くらいに抑えたい

最適な塗料の選択をするには、ご予算と生涯プラン、建物の素材や環境、状況を正しく診断することが大切になってきます。さまざまな塗料の性能や使用感、耐久性を把握した現場経験と、適正な施工技術を持ったプロに相談していただくとよいでしょう。

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最後にお伝えしたいこと

最後に、外壁塗装は何のためにするのかと言えば、家の美観を保ち紫外線や風雨から外壁の劣化を防ぐために保護し、目的に応じた特殊機能を追加するためです。
大切なお住まいのメンテナンスです。施工後に後悔しないために、目的をもって選んでいただきたいと思います。

長くなってしまいましたが最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
後悔しない外壁塗装の参考になっていただけたら、嬉しく思います。

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